日本の武道は世界遺産だ
2011年05月19日

「みやざき中央新聞」の5月16日2412号の中の記事を紹介します。
「日本の武道は世界遺産だ」
関西大学准教授 人間・環境学博士 アレキサンダー・べネット
私の知り合いに登山家がいます。エベレストにも2回ほど挑戦していますが、まだ頂上まで登れていません。とにかく山が好きな人です。
その人は「山の事故の7割ぐらいは下山するときに起きている」と言います。頂上まで行って「俺は山に勝った」と思ったら大間違いです。下山のとき、気が抜けてしまうと事故が起きてしまうということです。
武道的に言えば「残心がない」ということです。だから、頂上に到達しても、「勝負はまだこれからだ」という気持ちや覚悟がないと大変なことになるのです。
まさに「残心」という考え方は、生きるか死ぬかというところで生まれた武道の教訓なのですが、どこの国の人であろうが、どんな人であろうが、これは生きる参考になる、もしくは生存のカギになると私は思っています。
道を渡るときも、「右よし、左よし、でもまた右から来るかもしれない、だからもう一回右を見て渡ろう」、これも「残心」です。
剣道で言うと、「面!」とか「胴!」とかの後です。「一本」で終わりじゃないということです。
日常生活においては、常に危機感を持って生活するとか、常に周りの人を意識して、思いやりの気持ちを持つとか、そういうことも「残心」なのです。
ただ、武道をやったからと言って日本文化を学べるとか、いい人間になれるとか、そういうことはないですが、武道の中にはそれが出来る手がかりはたくさんあるということです。
私がこの「残心」ということを考えるようになってから、たとえば、何か悪いことがあったとします。そのとき、自分自身をよく分析して、「あそこで残心を持っていたらこういうことは起こらなかったかもしれない」というように、自分の行動の結果は自分の責任だと考えることが出来るようになりました。
だから「残心」の重要性が分かるようになると、人のせいにしなくなり、すべて自分の責任だと思えるのです。そして、それを踏まえて次に行くという感じです。
「武道」という日本の美しい文化に触れて、その修行を通じて気付いた「礼」と「残心」、この二つの重要な部分を紹介いたしました。
これは武道だけじゃなく日常生活において非常に参考になる考え方です。
今や日本の武道は日本だけの財産じゃないですね。世界の財産です。そして私は「世界遺産」に匹敵するものだと思っています。
(宮崎県スポーツ施設協会などが主催した講演会より)
みやざき中央新聞さんは、快く転載を許可いただきました。
「残心」、営業でいうと契約後の顧客フォロー、アフターサービスかと思います。当社の仕事の事業承継、生命保険や資産運用であれば、生涯のフォロー、「残心」が本当に重要です。もっともっと「残心」を極めていきたいと感じました。
ありがとうございます。
〜全ての良きことが雪崩の如く起きますように!〜
能登清文拝
Posted by 能登 清文 at 17:51│Comments(0)